2007 WD5 は本当に火星にぶつからないのか その2(再計算)

 前回の日記の続きです。
 すみません、計算の途中で足し算と引き算を間違えていました。
改めて、正しい方法で再計算しました。モンテカルロ部分のみの修正なので、中心ケースの最接近時刻・距離は変わりません。
 CGはこんな感じです。誤差を考慮した100シミュレーションの軌跡を細い線で表示しています。
wd5-4.jpg
 モンテカルロは、50000回に増やしてみました。結果はこうなります。
wd5-5.jpg
 1000kmごとのヒストグラムも作ってみました。
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 正規分布っぽい結果で良い感じです。このうち火星に衝突するのは2ケースでした。2/50000=0.004%ということでNASAの発表0.01%と比べると少ないのですが、ケースが少ないので何とも言えません。マルコフ連鎖モンテカルロ法とかありますが、知りたいケース付近を集中的に試行するのでこういう場合に使われるのでしょうね。いずれにせよ、NASAの発表と矛盾は無いと思われます。ただ、2体問題の計算しかやっていないので、若干距離が遠くなる方向に計算が偏っているはずです。次に同じような天文ショーがあるときは、N体問題で解きたいと思います。
 というわけで、NASA発表の追試は終了です。NASAの発表文を読むと、なんとなくモンテカルロじゃなくて解析的に確率を求めているような気がします。どんな式を使っているのでしょうか。
結論

 WD5 2007 が火星にぶつかる可能性はほとんどありません。

WD5 2007は本当に火星にぶつからないのか

 初っぱなからVOCALOIDと何の関係もない話題で申し訳ないです。小惑星衝突のお話です。
 先月ぐらいから小惑星が火星にぶつかる、ぶつからないと天文ファンの間で話題になっていて、一時は1/25の確率で衝突するという計算が発表されたりしていました。
 私も独自に計算してニコニコ動画に投稿するためにCGも作りかけていたのですが、計算をやり直したりCGを作り直したりとぐずぐずしているうちに他の人に先を越され、更にNASAにも「衝突の可能性はほとんど無くなった」と発表されてしまいました。
 というわけで完全に時機を逸した感があるのですが、計算結果をメモ代わりに書いておこうと思います。WD5の軌道要素はNASA/JPLのページから持ってきました。最新版は1/9のデータで、NASAの発表もこれに基づいています。
 まず最接近時のCGはこんな感じになります。WD5の大きさは誇張して描いています。 実際は直径50m程度なので点にしか見えないはずですね。
wd5.jpg
 やはりぶつかりそうにありません。横軸に日付、縦軸に距離(天文単位)のグラフを作るとこうなります。
wd5-2.jpg
 最接近は1/30 20:59:55(日本時間)で、0.000175006AU=26180.5kmまで近づくということになりました。これはNASAの発表とほぼ一致しています。
※以下の計算は間違っています。正しい計算はこちら
 次に、衝突する確率を求めてみました。NASAのページに各軌道要素の誤差も載っているので、とりあえず正規分布で振ってモンテカルロを回してみました。独立した乱数ではなく、ちゃんと要素間の共分散行列も考慮した乱数を使っています。その結果がこれ。
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 最接近時の距離(km)を10000回分プロットしたのですが、あれ?なんだか随分とばらついますね。火星の半径(3390km)以下の点が35もあります。つまり私の計算では、35/10000=0.35%の確率で衝突する可能性が残っていることになるのですが。
 中心値の計算はたぶん正しいので、誤差の解釈がおかしいのでしょう。ちょっと見直してみます。