2013年大阪大学入試問題(前期理系)数学問5を一瞬で解く

 今年の入試では、大阪大学の理系数学でユニークな問題が出ました。問1はx->0でsinx/x->1を証明せよというもので、個人的には高校生に解かせるのはいかがなものかと思うのですが、それよりも問5です。これがなかなか面白い。

2013年大阪大学入試問題(前期理系)数学問5より
(取り付きやすくするために表現をアレンジしています。)
 n個(n≧3)の箱と球があり、それらには1からnまでの番号が重複無く付けられている。まず球1をいずれかの箱にランダムに入れる。球2以降は、自分の番号と同じ番号の箱が空いていたらその箱に、空いていなかったら空いている箱のいずれかにランダムに入れる。これを球nまで繰り返す。この時、
(1)球nは箱1か箱nに入ることを証明せよ。
(2)球n-1が箱n-1に入る確率を求めよ。
(元の問題はこちら

 なかなかの難問だと思います。(1)は、柔軟に考えればさほど苦労せずに解けます。問題は(2)です。以下の解答を見ずに、一度チャレンジしてみることをおすすめします。


……。
 どうも雲を掴むような感じで、とっかかりが難しいです。各予備校の模範解答を見てみましょう。
河合塾の解答
駿台予備校の解答
代々木ゼミナールの解答(リンク切れ)
 いずれの解答からも、各担当者の苦労が感じられます。2013年全大学の数学入試問題でも、相当に難しい部類に入るのではないでしょうか。ところがこの問題、あることに気がつくと非常に簡単に解けます。
 では、私の解答を示したいと思います。
(1) 球nを入れる直前には、箱2から箱n-1まではすべて塞がっている。なぜなら、それらに空いている箱があるとすると、それと同じ番号の球を入れる時に塞がったはずだからである。従って球nは箱1か箱nに入る。
(2) (1)と同じ論法から、球n-1を入れる直前には箱2から箱n-2までのn-3個の箱はすべて塞がっていることがわかる。その段階でn-2個の球が処理されているので、さらに箱1、箱n-1、箱nのうちいずれか一つに球が入っている状態である。その球が入った時のことを考えると、球の行方は箱1、箱n-1、箱nを含めた幾つかの箱の中から平等にランダムに選ばれたはずである。従ってこの3つの箱のどれに球が入っているかは確率的に等しく、それぞれ1/3である。球n-1が箱n-1に入るのは箱1または箱nに球が入っている場合だから、確率は2/3となる。
 というわけで非常に簡単に解けましたが、入試の緊迫した状況下で同じ解法を思いついた人はいないのではないでしょうか。私も当然無理です。ただ、入学試験問題として適当かどうかはともかくとしても、確率の本質を突く面白い問題だと思います。

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