クルタ計算機の解説マニュアル”Computing Examples for the Curta Calculating Machine.”の日本語翻訳版が、発笑探検隊(3日目 東2-S28a, http://takuri.realwork.jp/, @takuri_east)によりC92で頒布されます。私が関わるクルタ本では、開発者自伝本、”YOUR CURTA CALCULATOR”翻訳本に続く3冊目となります。
今回は、機械式計算機による超絶テクニックを紹介する本です。機械式計算機全盛期には、計算機の限界ゆえにかなり高等な計算法が用いられていました。この本でその一部を感じられるかと思います。少し中身を紹介します。
P11 平方根を求める
まずは平方根です。機械式計算機で平方根を計算する場合、開平法が有名(?)ですが、本マニュアルではHermann’s Methodという手法が紹介されています。精度はやや劣りますが、かなり手早く計算できます。ちなみに立方根の求め方も載っています。
P17 999…9を利用した計算
なんと、クルタ計算機では並列計算ができるんです(やや誇張)。所得を入力して、それにかかる税金額と税引き後の手取りを同時に計算するという技を紹介します。
P29 鈍角三角形の1辺の長さを求める
三角形の2辺の長さとその内角がわかっている場合に、もう一つの辺長を求めるにはどうすれば良いでしょうか?余弦定理を使えますが、そのまま計算すると桁あふれする可能性があります。そこをクルタで巧妙に計算する方法を紹介します。
P31 座標から面積を求める
N点のXY座標が与えられた時に、それらを結んで作られる図形の面積を求めます。最小限の手順で計算するにはどうするか。実はN回の引き算とかけ算、N-1回の足し算、最後に1回の割り算で求まります。さらに、無駄な入力を極力避けるにはどうするか?なかなか鮮やかな手法が使われています。今でもプログラミングに応用できるかもしれません。
今回は、普通の計算を如何に短い手順でやるかに焦点が置かれているので、アルゴリズムマニア、数学マニアの方々にもお楽しみいただけるのではないでしょうか。ただ、クルタ計算機の基本的な計算方法は知っておく必要があるので、”YOUR CURTA CALCULATOR”の翻訳本と一緒に購入することをおすすめします。
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