レターパックプラスで最大何リットルの荷物を送れるのか

(MathJaxを使っているので、古いブラウザでは数式が表示されないかも知れません。)
 先日、本を何冊か送る機会があったのですが、その時にレターパックプラスを使いました。レターパックプラスは、500円固定料金の郵便で規定の封筒を使用し、切手を貼らなくても相手に届くという大変便利なものです。封筒の大きさは決まっていますが、これを立体成型して直方体の形を作る方法があり、すると意外に大きなものが入ります。こことかここのページを参考にして、本を送りました。
 では、$24.8cm×34cm$のレターパックプラスに、最大でどれぐらいの体積の直方体を入れられるでしょうか。立体成型のやり方から分かるとおり
\[直方体の周囲長 \leq レターパックプラスの周囲長\]
である必要があります。従って直方体の縦・横・高さをそれぞれ$x, y, z$(cm)とすると、$x, y, z$は非負で
\[2(x+z) \leq 24.8 \times 2\]
\[2(y+z) \leq 34 \times 2\]
を満たします。この条件下で体積$V=x y z$を最大化するわけです。


 $V$が最大の時に上の不等式2式の等号が成り立っていないとすると、等号が成立するまで$x, y$を増やせば更に$V$を増やせて矛盾するので、$V$が最大の時これらの等号が成り立っています。従って
\[2(x+z) = 24.8 \times 2\]
\[2(y+z) = 34 \times 2\]
と書き換えられて、これで$x, y$を$z$で表せます。すると$V$は$z$のみの式となり、
\[V=x y z=z^{3}-58.8z^{2}+843.2z\]
と整理できます。このグラフは、こんな具合になります。
v.png
 $V$が最大値を取るのは、$V$の微分が$0$となる点です。
\[\frac{dV}{dz} = 3z^{2}-117.6z+843.2=0\]
\[z=\frac{2(147 \pm \sqrt{5799})}{15} \]
このうち$V$が非負になるのは$z=\frac{2(147 -\sqrt{5799})}{15} \simeq 9.447$で、この時$x, y$は次のようになります。
\[x=\frac{2(39 + \sqrt{5799})}{15} \simeq 15.35\]
\[y=\frac{2(108 + \sqrt{5799})}{15} \simeq 24.55\]
つまり$15.35cm \times 24.55cm \times 9.447cm$という約$3561cm^3$の箱が入ることになります。なんと3.5リットルです。2リットルペットボトル1本と500mlペットボトル3本分の水が入り、しかもレターパックプラスは4kgまで大丈夫なので、箱がしっかりとしていれば実際にそれだけの水を送れるはずです。
 ところが、水を送るのならばこれが最大ではありません。成型の形を直方体に
限らなければ、もっと大量の水を詰められるはずです。これはPaper bag problemあるいはTea bag Problemとして知られているようで、Wikipedia英語版に最大体積の近似式が載っていました。これによると縦$h$横$w$の長方形の封筒を膨らませた場合は
\[最大体積近似式=w^{3}(\frac{h}{\pi w}-0.142(1-10^{-\frac{h}{w}}))\]
となるようで、レターパックプラスの大きさを代入すると$4585cm^3$となります。信じがたいのですが、2リットルペットボトル2本と500mlペットボトル1本の容量が入るわけです。ただし4kgの制限は超えるので、水は送れません。灯油などなら比重的には大丈夫ですが、法律的に送れないでしょう。
 というわけで、レターパックプラスには意外に大きなものが入ることがわかりました。本当に4.5リットル分入るのか検証してみたいところで、この話は続くかもしれません。
→続きを書きました。

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