WD5 2007は本当に火星にぶつからないのか

 初っぱなからVOCALOIDと何の関係もない話題で申し訳ないです。小惑星衝突のお話です。
 先月ぐらいから小惑星が火星にぶつかる、ぶつからないと天文ファンの間で話題になっていて、一時は1/25の確率で衝突するという計算が発表されたりしていました。
 私も独自に計算してニコニコ動画に投稿するためにCGも作りかけていたのですが、計算をやり直したりCGを作り直したりとぐずぐずしているうちに他の人に先を越され、更にNASAにも「衝突の可能性はほとんど無くなった」と発表されてしまいました。
 というわけで完全に時機を逸した感があるのですが、計算結果をメモ代わりに書いておこうと思います。WD5の軌道要素はNASA/JPLのページから持ってきました。最新版は1/9のデータで、NASAの発表もこれに基づいています。
 まず最接近時のCGはこんな感じになります。WD5の大きさは誇張して描いています。 実際は直径50m程度なので点にしか見えないはずですね。
wd5.jpg
 やはりぶつかりそうにありません。横軸に日付、縦軸に距離(天文単位)のグラフを作るとこうなります。
wd5-2.jpg
 最接近は1/30 20:59:55(日本時間)で、0.000175006AU=26180.5kmまで近づくということになりました。これはNASAの発表とほぼ一致しています。
※以下の計算は間違っています。正しい計算はこちら
 次に、衝突する確率を求めてみました。NASAのページに各軌道要素の誤差も載っているので、とりあえず正規分布で振ってモンテカルロを回してみました。独立した乱数ではなく、ちゃんと要素間の共分散行列も考慮した乱数を使っています。その結果がこれ。
wd5-3.jpg
 最接近時の距離(km)を10000回分プロットしたのですが、あれ?なんだか随分とばらついますね。火星の半径(3390km)以下の点が35もあります。つまり私の計算では、35/10000=0.35%の確率で衝突する可能性が残っていることになるのですが。
 中心値の計算はたぶん正しいので、誤差の解釈がおかしいのでしょう。ちょっと見直してみます。